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酒井抱一自撰句集『屠龍之技』(牧野宏子稿) [参考文献]

酒井抱一自撰句集『屠龍之技』ーーー伝本の基礎的調査ーー(その一)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/haibun1951/1985/68/1985_68_52/_pdf

 酒井抱一 (宝暦一一年~文政一一年)は、文化・文政期を通じて多くの花鳥画を描いた画家として知られているが、 一方で馬場存義・哲阿弥晩得に師事した江戸座系の俳人でもあった。

 彼の芸術活動を通して、最も重要な時期は、文化一〇年~一二年ころであろう。文化一一一年、尾形光琳百回忌を主催した抱一は、これ以後、「尾形流略印譜」、「光琳百図」、「乾山遺墨」などを次々に編み、光琳・乾山兄弟顕彰活動を積極的に行ないながら、自らも画業に比重を傾けていく。この時期を後期とするならば、前期、即ち文化一〇年以前は、俳諧に力を入れていた時代といえよう。

 東京・静嘉堂文庫所蔵の「軽挙観(館)句藻」(以下「句藻」と略す)一一十一巻十冊は、抱一の自筆句稿で、三十数年間の句日記とも呼ぶべき書物である。この中から抱一自身が撰んで文化年ころ世に送り出したのが、 「屠龍之技」である。前期俳諧活動の総決算とも考えられる、 この自撰句集の基礎的調査によって明らかになったことを今回は記しておきたい。 「屠龍之技」 の伝本を「図書総目録』によって調べると

「④天理綿屋(「屠龍之技 」)福井久蔵 国会・学習院・東大竹冷
・日比谷加賀・天理綿屋・横山重 日本俳書大係近世俳話句集・日本名著全集俳文俳句集・雨華抱一附録(岡野知十、明治三=l)」

と記されている。右の写本・版本の中で現在所在不明は横山重氏蔵本だけである。また、国書に著録された以外で調査に及んだものは 一東京大学図書館蔵写本、同図書館洒竹文庫蔵写本、同図書館知十文庫蔵写本、家蔵版本である。以上十一本を、句数、序跋の増減等を 一以て大きく六類に分類し、各の書誌を簡略に列記する。その際、便宜上次のような形式に従った。

①表紙 ②外題 ③見返し・扉など ④序 ⑤丁数 ⑥跋 ⑦ 句数 ⑧蔵書印(重要なものだけを扱った) ⑨旧蔵者識語・奥書 ⑩備考




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