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第四 椎の木かげ(4-10) [第四 椎の木かげ]

4-10 蒼鷹(そうよう)の拳はなれて江戸の色

季語=蒼鷹(そうよう)=鷹(たか)三冬

https://kigosai.sub.jp/001/archives/2878

【子季語】 のすり、八角鷹、熊鷹、鶚、青鷹、蒼鷹、もろがへり、大鷹

【解説】 ワシ、タカ科の中形の鳥類の総称で、色彩は主に暗褐色。嘴は強く鋭く曲がり、脚には強い大きな鉤爪があり小動物を襲って食べる。鷹狩に使われているのは主に大鷹である。蒼鷹(もろがえり)は、生後三年を経たたかのこと。

【例句】

鷹一つ見付けてうれし伊良古崎 芭蕉「笈の小文」

夢よりも現の鷹ぞ頼もしき   芭蕉「鵲尾冠」

鷹の目の枯野にすわるあらしかな 丈草「菊の香」

あら浪に山やはなれて鷹の影   麦水「葛箒」

落し来る鷹にこぼるる松葉かな  白雄「白雄句集」

鷹来るや蝦夷を去る事一百里   一茶「寛政句帖」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-10.html


葛飾北斎「桜に鷹」 天保5年(1834)頃 前北斎為一筆 長大判錦絵 52.0×23.6㎝ 森屋治兵衛

https://intojapanwaraku.com/art/2317/

 句意は、「鷹匠(たかじょう)の拳を放れた青鷹(あおたか)は、今まさに、江戸爛漫の宙(そら)に輝いている。」

※「青鷹・蒼鷹(あおたか・あをたか・そうよう)」=「おおたか(大鷹)」の古名。古来、鷹狩り用として、最も珍重された種類。もろがえり。

※万葉(8C後)一七・四〇一一「鷹はしも 数多(あまた)あれども 矢形尾(やかたを)の 吾が大黒に〈大黒は蒼鷹の名なり〉 白塗の 鈴取り附けて」()

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-10.html

酒井抱一筆「植物の上の鷹(カラー木版画)」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-10.html

「同上(部分拡大図)

https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Sakai-Hoitsu/1033857/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AE%E9%B7%B9%EF%BC%88%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%9C%A8%E7%89%88%E7%94%BB.html
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第四 椎の木かげ(4-9) [第四 椎の木かげ]

4-9 おし鳥のふすまの下や大紅蓮(ぐれん)

季語=「おし鳥」=鴛鴦(おしどり、をしどり)三冬

https://kigosai.sub.jp/001/archives/3158

【子季語】 匹鳥、銀杏羽、思羽、剣羽、番鴛鴦、離れ鴛鴦、鴛鴦の契、鴛鴦の浮寝、鴛鴦の独寝

【解説】 ガンカモ科の水禽。雄の羽根の造形は華麗で色も鮮やか。靜かに水に浮いている様は九谷焼の置物のごとし。「鴛鴦夫婦」のことばがあるように、雌雄仲が良い。夏に山の渓流、湖などで繁殖、秋、里に現れる。里でも繁殖する。

【例句】

里過て古江に鴛を見付たり 蕪村「蕪村句集」

鴛や池におとなき樫の雨  蕪村「落日庵句集」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-9.html


「酒井抱一 中人物左牡丹右鴛鴦」の「鴛鴦」(部分図)

https://www.tobunken.go.jp/materials/gahou/109627.html

 句意は、「鴛鴦(おしどり)が、仲睦まじき泳いでいる。それは、水墨画の枯淡の図ではなく、誠に、濃艶な、『大紅蓮(ぐれん)』の光景であることよ。」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-9.html


「紅蓮」とはどんな花?

https://domani.shogakukan.co.jp/667075
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第四 椎の木かげ(4-8) [第四 椎の木かげ]

4-8 木兎(みみづく)も末社の神の頭巾かな 

季語=木兎(みみづく)=木菟(みみずく/みみづく) 三冬

https://kigosai.sub.jp/001/archives/8744

【子季語】 木菟/五郎助/大木葉木菟/虎斑木菟

【解説】 フクロウ科の猛禽。頭部に耳と呼ばれる羽毛を持つ。夜行性で野鼠やかえるなどを捕食する。夜間人里近い森などでホーホーと低い声で鳴く。

【例句】

木菟や上手に眠る竿の先 一茶「九番日記」

※「末社」=「① 神社で、本社に付属し、その支配を受ける小社。摂社に次ぐ格式を有するもの。※吾妻鏡‐文治五年(1189)九月一〇日「鶴岡末社熱田祭也」② (「客」を「大尽(だいじん)」というのを「大神」に言いかけ、それを取りまく「末社」の意でいう) 遊里で客の取り持ちをする者。太鼓持。幇間。〔評判記・色道大鏡(1678)〕③ 転じて、取り巻きの人。※洒落本・禁現大福帳(1755)五「末(マッ)社一人ばくの縄目の三尺手拭にて尻からげ」」(「精選版 日本国語大辞典」)

(画像)→  https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-8.html


Title:百千鳥 「木兎 市仲住 鷽 笹葉鈴成」 Scops Owl (Mimizuku) and Bullfinches (Uso), from the album Momo chidori kyôka awase (Myriad Birds: A Kyôka Competition)

Artist:喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro

Dates:1790年頃

木兎 鳥とともになきつわらひつくどく身を それぞときかぬ君がみみづく

https://paradjanov.biz/art/favorite_art/favorites_j/4469/

 句意は、「木兎(みみづく)は、「大神(だいじん)の本社」に取り巻く『末社』の風情で、それは、『大尽(だいじん)』の取り巻きの『太鼓持ち・幇間』の、その『頭巾』を被っている風情に似ていることよ。」
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第四 椎の木かげ(4-7) [第四 椎の木かげ]

4-7 山陵(みささぎ)の吸筒さがす夕(ゆうべ)かな (初案の「詠み」と「句意」)
  山陵(やまがら)の吸筒さがす夕(ゆうべ)かな (再案の「詠み」と「句意」)

(再案の「詠み」と「句意」)

 この句は、其角の「山陵(カラ)の壱歩をまはす師走哉 (『いつを昔』)」の句を踏まえての一句と解するのが妥当のようである。

句意=「山雀(やまがら・三夏)」が「山陵(みささぎ)」で「夕べ」の「吸筒(水筒・水飲み場)を探している。其角の句を踏まえると、「山雀利口」(座頭市から高利の借金をして当座の遣り繰りをする者)が「三両(山陵)一歩」の「高利貸し」に、この「夕べ」の「吸筒(食い扶持))」に四苦八苦している。

http://yahantei.blogspot.com/2007/03/blog-post_24.html

【(謎解き・五十)

〇 山陵(カラ)の壱歩をまはす師走哉 (其角『いつを昔』)

「とにかくにもてあつかふはこゝろなりけり 光俊」の前書きがある。「山がらの廻すくるみのとにかくにもてあつかふはこゝろなりけり」(『夫木和歌抄』巻二十七・光俊朝臣)を踏まえている。訓読みの「やまがら(山雀))」と音読みの「さんりょう(三両)」を掛けている。これは当時の「三両一歩」の「座頭金」(高利)を風刺した句である。座頭金は幕府が盲人の保護政策として高利貸しの営業を認め、後に高利の代名詞に「三両一歩」の語が生じたことによる(今泉・前掲書)。また、「山雀利口」(小利口で実際の役に立たないもの)で、師走の遣り繰りに困って、利子を一歩(一歩は一両の四分の一)を先払いして、二両三歩を手にしたが、山雀小利口で、前書きの光俊の歌にあるように「もてあつかふ」(始末に困る)ということになるというのである(今泉・前掲書)。表面的な句意は、「山稜鳥の異名を持つ山雀は胡桃をころころ廻してもてあそぶ習性があるが、その足の一歩でこの師走の忙しい時に、胡桃をもてあそんでいる」。そして、その背後の意味は、「その山雀と同じように、山雀小利口で、師走の資金繰りに困って、山陵鳥ならず、三両を一歩の利子という高利で座頭金を借りて、利子を前払いして、当座の遣り繰りをころころと胡桃のように廻しているが、とどのつまりは、そんな遣り繰りはうまくいかず、仕舞いには、どうにも始末が困ってしまうことになる」というようなことである。これは、其角の「聞えがたき」(意味が分からない)句の、いわゆる「謎句」の範疇に入る句の一つであろう。この種の謎句は、「洒落風」ともいわれ、「一般に芭蕉没後、とくに顕著になる其角独特の作風をさし、武士口調のもじり、世相の風刺などにその一例が見られる」(今泉・前掲書)ところのものであろう。この種の其角の世相風刺などのの句として、前にもその幾つかは紹介したが、次のようなものがある。】

https://paradjanov.biz/art/favorite_art/favorites_j/4473/

山雀・鶯(歌麿).jpg

Title:百千鳥 「山雀 紀定丸 鶯 則有遊」 Penduline Tit (Yamagara) and Bush Warbler (Uguisu), from the album Momo chidori kyôka awase (Myriad Birds: A Kyôka Competition)
Artist:喜多川歌麿 Kitagawa Utamaro
Dates:1790年頃
山雀 君は床をもぬけのくるみわればかり ちからおとしの恋の山がら
鶯 のきちかくほほうとつくる一声は 我恋中をみたかうぐいす


(初案の「詠み」と「句意」)

季語=山陵(みささぎ)=鵲(かささぎ)三秋(「鵲」の「捩り」詠み)

https://kigosai.sub.jp/001/archives/2233

【子季語】 高麗鴉、朝鮮鴉、唐鴉、筑後鴉、肥前鴉、烏鵲、勝鴉

【関連季語】 鵲の橋、鵲の巣

【解説】 七夕伝説に登場する鳥。天の川を渡る織姫のために羽を連ねて橋を作るという。カラスに似ているが腹部が白いのでカラスと見分けられる。

【文学での言及】 

かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける 大伴家持『新古今集』

【実証的見解】 鵲は、スズメ目カラス科の鳥で、日本ではおもに北九州地方に生息する。体長約四十センチで、全体的に黒く、肩や羽、腹部の一部が白い。穀類や木の実などを食べるほか、秋にはイナゴなどの害虫も食べることから、益鳥とされる。十二月ころから三月ころまでが繁殖期で、枝や竹、ハンガーなどを用いて高い木の梢や電柱の上に巣を作る。産卵数は五個から八個くらいで、四月ころから巣立ちを始める。

【例句】

かささぎや石を重りの橋も有り 其角「浮世の北」

※山陵(みささぎ)=「山陵(さんりょう)」=「君主の墓。帝王の墓。天皇・皇后などの墓。みささぎ。御陵」(「精選版 日本国語大辞典」)が本意であるが、その「みささぎ」の詠みから「かささぎ(鵲)」を「捩り(もじり=表現を変えて滑稽化している)詠み」していると解する。

※吸筒(すいづつ)=酒や水などを入れて持ち歩いた、竹筒または筒型の容器。水筒。

※俳諧・鷹筑波(1638)二「さとりて見ればからき世の中 すひ筒に酒入てをくぜん坊主〈時之〉」(「精選版 日本国語大辞典」)

 句意は、「鵲(かささぎ)が、山陵(みささぎ)の近辺で、夕べの吸筒(水を飲む所)を探している。その図は、『かささぎ』ならず「みささぎ」の名が相応しい。」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-7.html


渡辺省亭『花鳥画帖(迎賓館赤坂離宮七宝下絵)』より「鵲図」東京国立博物館蔵

http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4614
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第四 椎の木かげ(4-6) [第四 椎の木かげ]

4-6 田の畔に居眠る雁や旅つかれ 

季語=雁(かり)=雁(かり)晩秋

https://kigosai.sub.jp/001/archives/2607

【子季語】 雁(がん)、かりがね、真雁、菱喰、沼太郎、酒面雁、雲井の雁、小田の雁、病雁、四十雀雁、白雁、黒雁、初雁、雁渡る、天津雁、雁の棹、雁行、雁の列、落雁、雁鳴く、雁が音

【解説】 晩秋に北方から来て春には帰る。体は肥っていて灰褐色。頚が長く尾は短い。グァングァンと声を発しつつ棹型や鉤型に並んで飛翔する。雁をかりがねと呼ぶのは古来、多くの人がその声をめでたからである。

【例句】

病雁の夜寒に落ちて旅寝かな 芭蕉「猿蓑」

雲とへだつ友かや雁のいきわかれ 芭蕉「蕉翁全伝」

雁の腹見すかす空や船の上 其角「其便」

雲冷ゆる夜半に低し雁の聲 丈草「誹諧曽我」

初雁や通り過して聲ばかり 千代尼「千代尼句集」

初雁に羽織の紐を忘れけり 蕪村「新五子稿」

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-6.html


歌川広重筆「月に雁」(部分図)

https://intojapanwaraku.com/art/1110/

 句意は、「晩秋を彩る雁の群れが、田の畔で居眠りをしている。長い旅路の疲れを癒していることよ。」
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第四 椎の木かげ(4-5) [第四 椎の木かげ]

4-5 魚狗(かわせみ)や笹をこもれて水のうへ

季語=魚狗(かわせみ)=翡翠(かわせみ、かはせみ)三夏
https://kigosai.sub.jp/001/archives/2103#:~:text=%E6%B8%93%E6%B5%81%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%A7%E6%B0%B4%E4%B8%AD%E3%81%AE,%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%AD%A3%E8%AA%9E%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

【子季語】 川蝉、かはせび、しようびん、ひすい、翡翠(ひすい)

【関連季語】 山翡翠、赤翡翠

【解説】 渓流などで水中の魚を狙う翡翠色の鳥。高いところから急降下して、魚をたくみに捕らえる。四季を通じてみられるが、水辺にいる様子が涼しげなので夏の季語とする。

【来歴】 『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。

【実証的見解】 ブッポウソウ目カワセミ科の鳥類。日本全土に生息し、渓流などの水辺に見られる。全長は十七センチほど。嘴が長く、頭が大きい。色は全体的に青く、腹部はオレンジ色。からだの色が鮮やかなため「空飛ぶ宝石」と呼ばれ、「翡翠(ひすい)」の字を当てる。水面に突き出た枝や杭に止まったり、空中でのホバリング(停止飛行)をして魚を待構える。魚が水面近くまで上がってくるとダイビングをしてくちばしで捕らえる。

【例句】

翡翠のまぎれて住むか杜若 桃隣「別座鋪」

川蝉の風かをるかとおもひけり 蓼太「蓼太句集初編」

※魚狗(かわせみ)=『本草綱目』(明・李時珍)に「魚狗、処処の水涯に之れ有り。大きさ燕の如く、喙尖りて長く、足は紅にして短く、背毛は翠色、碧を帯ぶ。翅毛は黒色、青を揚ぐ。女人の首物を飾るべし。亦翡翠の類」とある。現代中国では魚狗はCeryle(ヤマセミ属)、翠鳥はAlcedo(カワセミ属)、翡翠はHalcyon(ヤマショウビン属)としている(『辞海』、維基百科など)。

http://rijitin.livedoor.biz/archives/7575803.html

(画像)→ https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-5.html

「芦にかわせみ」(落款・前北斎為一筆/文政(1818~1830)/ 26.0cm×38.0cm(大判横1枚)/神奈川県立歴史博物館蔵)

https://ch.kanagawa-museum.jp/dm/ukiyoe/esi/katusika/d_katusika05.html

 句意は、「カワセミが、水辺の笹に籠(こも)れると、その笹が枝垂れて、笹ごと水の上に浮いている。」
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第四 椎の木かげ(4-4) [第四 椎の木かげ]

4-4 ほとゝぎす鳴(く)やうす雲濃紫(こむらさき)
https://kigosai.sub.jp/001/archives/2099#:~:text=%E5%88%9D%E5%A4%8F%E4%BA%94%E6%9C%88%E3%81%AB%E5%8D%97%E6%96%B9,%E3%81%AF%E5%88%9D%E9%9F%B3%E3%82%92%E5%BE%85%E3%81%A1%E3%82%8F%E3%81%B3%E3%81%9F%E3%80%82

季語=ほとゝぎす=時鳥(ほととぎす)三夏

【子季語】 初時鳥、山時鳥、名乗る時鳥、待つ時鳥、田長鳥、沓手鳥、妹背鳥、卯月鳥、杜鵑、杜宇杜魂、子規、不如帰

【解説】 初夏五月に南方から渡ってきて日本に夏を告げる鳥。雪月花に並ぶ夏の美目でもある。昔は初音を待ちわびた。初音を待つのは鶯と時鳥だけ。夜、密かに鳴くときは忍び音といった。

【来歴】 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。

【文学での言及】

暁に名告り鳴くなるほととぎすいやめづらしく思ほゆるかも 大伴家持『万葉集』

信濃なる 須賀の荒野に時鳥鳴く声聞けば 時過ぎにけり 作者不詳『万葉集』

いくばくの 田をつくればかほととぎすしでの田をさを朝な朝な呼ぶ 藤原敏行『古今集』

ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな よみ人しらず『古今集』

ほととぎすそのかみ山の旅枕ほのかたらひし空ぞわすれぬ 式子内親王『新古今集』

【実証的見解】

時鳥は、カッコウ目カッコウ科に分類される鳥で、夏鳥として九州以北に飛来する。全体的に灰色で、腹部に白と黒の横縞模様が見られる。托卵の習性があり、おもに鶯の巣に卵を産む。食性は肉食性で、毛虫などを好んで食べる。キョッキョッキョキョなどと鳴き、「特許許可局」や「テッペンカケタカ」などと聞きなしされる。

【例句】

野を横に馬引むけよほとゝぎす 芭蕉「猿蓑」

ほとゝぎす消行方や島一ツ 芭蕉「笈の小文」

京にても京なつかしやほとゝぎす 芭蕉「芭蕉書簡」

ほとゝぎす大竹藪をもる月夜 芭蕉「嵯峨日記」

ほとゝぎすきのふ一聲けふ三聲 去来「去来発句集」

時鳥啼や湖水のさゝ濁り 丈草「丈草発句集」

弓取は弓持てきくほとゝぎす 白雄「白雄句集」

おもひもの人にくれし夜杜鵑 太祇「五車反古」

山吹も散らで貴布祢の子規 維駒「五車反古」

岩倉の狂女恋せよほとゝぎす 蕪村「五車反古」

江戸入りの一ばん声やほととぎす 一茶「七番日記」

(画像) → https://yahantei.blogspot.com/2023/02/4-4.html


葛飾北斎筆「子規 杜鵑花(ほととぎす・さつき)」(江戸時代/19世紀/中判/錦絵/東京国立博物館蔵)

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/482420

句意は、「初夏を告げる杜鵑(ほととぎす)の鳴き声が、真っ白な薄雲と濃紫(こむらさき)の青天に広がる。」
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